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2017-05

十銭ストアの化粧品 - 2017.05.07 Sun



左は門根幸榮堂の香泉化粧水、右は山田屋香粧品製造所のヤマダ艶出し香油です。
最近は1つの製品を調べた記事が多かったですが、今回は少し視点を変えて、
十銭ストアで売られていた化粧品を取り上げます!

「十銭ストアってなに?」という方々の為に簡単に説明すると、
今で言う「100均」や「300均」のような、均一価格で品物を売るお店です。
戦前にそんなお店があったとは!びっくりですね〜
香泉化粧水とヤマダ艶出し香油については、長らく詳細不明だったのですが、
商報の広告から、この2つの製品が十銭ストアの製品であることに気付きました。
調べてみると色々と面白かったので、興味のある方は是非お付き合いください。

10sent-2.jpg

香泉化粧水を見てみましょう!
全長は約11cm、三分の一ほど残った化粧水は鮮やかな水色をしています。
ビンの多面的なカットがお洒落ですね!
ラベルにはマル停マークがありますので、1939年10月以降のものでしょうか?
前面のラベルにわざわざ大きく判を押すのは珍しいですね。

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10sent-4.jpg

背面を見てみましょう。
この化粧水の説明書きがあります。
油性の方に特によろしう…とあるので、サッパリした使用感だったのでしょうね!
住所は東京市浅草區ですから、1943年以前の物なのは間違いなさそうです。

10sent-5.jpg

蓋はエンジ色です。
こうしたカットを施した蓋のデザインはこの時代多く見られますね。
例を挙げれば、美顔水も同じような蓋のデザインです。

10sent-6.jpg

こちらはヤマダ艶出し香油です。
全長はコルクを含めて約9cm、ビンはスタンダードなデザインです。
ラベル左下にある椿のマークは、資生堂の花椿に激似(笑)

10sent-7.jpg

背面を見てみます。
ラベルには欠けがありますが、「束髪用香油」と書いてあったのでしょうね。

10sent-8.jpg

ビン側面のラベルには「山田屋香粧品製造所」とあります。
香泉化粧水と同様に、住所は東京市ですね。
責任者のお名前がよく見えませんが、「町野久一」さんかな?
写真下はビン背面にあるエンボスをアップで撮ったものです。
「YAMADA」だから略して「YMD」なのでしょうね。


十銭ストアは1926年、高島屋が大阪に出した店が始まりであると言われています。
当時、アメリカに存在した「10セントストア」を参考にしたお店だったそうです。
店内全ての品物が十銭で買えるという物珍しさと、当時の世界的不況の影響もあって、
十銭ストアは民衆に歓迎されました。
1931年から本格的なチェーン展開が始まり、最盛期には100店舗以上に規模が拡大。
髙島屋の成功を受けて10銭ストアを模倣するデパートや商店も続出しましたから、
それも含めると相当な数の均一ストアが存在したことになります。
しかし米国との戦争が始まると品物の調達難などから均一ストアの運営が難しくなり、
戦争が終わる頃には、そのほとんどが姿を消していたそうです。
十銭(現代の約180円に相当)で果たしてどんな品物を売ることができたのか?
というのが気になるところですが、菓子類や缶詰などの食料品をはじめ、
ハンカチや歯ブラシなどの生活必需品、日用品がほとんどだったようです。
そして、その日用品の中には化粧品も含まれていました。

当時の「均一ストア旋風」が化粧品業界にも影響していたのは明らかです。
1932年の商報には、均一ストア用に製造された化粧品が盛んに宣伝されています。
ここで幾つか広告をご紹介します。

10sent-9.jpg

「時代に投ずる!! 見よこの大奉仕!! 十銭均一爆破!! 九銭均一の先陣!!」

見よ、この広告の威勢の良さ!
「十銭均一爆破!!」って……十銭均一に恨みでもあるのでしょうか(笑)
均一ストアは十銭だけでなく二十銭、五十銭など金額の設定にも種類がありました。
九銭ストアというのもあったようです。

10sent-10.jpg

品物リストを見てみると、ハンカチ、櫛、乳バンド(!)などの日用品のほか、
ヘチマ水、水白粉、クリームなど化粧品類も豊富に取り揃えていることが分かります。
仕入れ値を見ると、化粧品類は10個で六十五銭というのがほとんどですね!
ヘチマ水は10本で四十八銭と、かなりお安い!

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10sent-12.jpg

こちらは山田屋香粧品製造所の広告です。
山田屋は十銭均一向けの化粧品を主に製造していたようですね!
少し分かりにくいですが、今回取り上げている艶出し香油の姿も発見しました。
どれも十銭とは思えないお洒落なビンです。

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こちらも山田屋香粧品製造所の広告です。
「遂に化粧品界にも十銭均一時代が来た!!」と威勢よく宣言しています。

10sent-14.jpg

こちらは門根幸榮堂の広告です。
山田屋と同様に、十銭均一用の化粧品を多数取り揃えていることが分かります。
残念ながら、今回取り上げた香泉化粧水はこの広告で確認することはできません。

10sent-15.jpg

こちらも門根幸榮堂の広告です。
この広告は先程のものと違って、文字情報を多く載せています。
「キット賣れる キット儲かる 十銭化粧品」……少し控えめな宣伝文句ですね(笑)
「弊店は化粧品製造に古き歴史を有し」とあるので、以前から各化粧品会社に
化粧品を卸していた老舗だったと考えられます。
製品一覧には、今回取り上げている香泉化粧水も確認できますね。

均一ストア用製品の宣伝広告は1932年以降の商報でも見ることができるので、
一時のブームではなくジャンルの1つとして業界に受け入れられていたのでしょう。
断言はできませんが、名称に「ヤマダ」や「香泉」という言葉が含まれる場合は、
十銭ストア用の化粧品である可能性を考えてみても良いかもしれません!

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● COMMENT ●

KOSEN香水の佇まい、水色がまた涼しげですね~
ヤマダさんはシンプルイズベストなスッキリしたフォルム…
70年以上前の当時の香りを楽しめるなんて中々ないことですよね~
私はピカソの葉緑素アストリンゼントの中身入りがお気に入りです
昔にも[価格が均一なら購入しやすいだろう]という概念はあったんですね~
それでもデザインが180円ちょっとには到底見えませんよね、本当にオシャレです
広告も[見よ!]なんて力強いですね~
10銭爆破はちよっとどういう事か分かりませんが(笑)
10銭硬貨は妙に持ってますから、今から高島屋に購入しに…
あっ、七十年以上前か…(>_<;)

レトロアツメさん、どーも!

香泉のほうは、香水ではなく化粧水なんです!
試しに匂いも嗅いでみましたが、ほのかに薬品臭がする程度でした。
見た目が派手な割には地味です(笑)
葉緑素アストリンゼントも色がかなりエグイですよね!
この時代の広告はどれも自信に満ちていて、
今の広告とはまた違った面白さがありますよね。
ふと思いましたが10銭爆破というのは、
「リア充爆発しろ」に似たニュアンスを感じますね(笑)
今も昔も日本人の言葉の組み合わせというか、
センスみたいなものは脈々と受け継がれているなあ……
なんて、どうでも良い話ですいません(笑)
十銭硬貨沢山お持ちですか、70年前だったら買い物し放題だったでしょうに残念!
現在の髙島屋に当時の品揃えとか再現して貰ったらとても面白いでしょうね。


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Author:黒猫チャック
香水瓶収集からはじまり、日本の化粧品デザインに辿り着きました。特にビンが大好き!ラベルが残ってたら最高です。
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