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2015-10

藤澤友吉商店 ヨードブルトーゼ - 2015.10.22 Thu



私の持っているビンの中では、かなり大きい部類に入ります!
ハデハデな黄色ラベルが眩しい、藤澤友吉商店のヨードブルトーゼです。

箱も揃っているので一応完品?でも、説明書がありません~残念!
全長は19.5cmほどで、重厚な作りの焦げ茶色のビンです。250gとの表記があります。
ブルトーゼはディギングなどでもよく出てくるビンらしいので、古いビンがお好きな
方々にはお馴染みの存在なのではないでしょうか?
よく見る割にはあまり詳しいことを知らないので、改めて調べてみます。

ブルトーゼの発売元である藤澤友吉商店は、藤澤友吉が大阪で創業した製薬会社です。
三重県出身の友吉は9歳の時に大阪の薬種問屋、原田宗次郎商店で奉公を始めます。
しかし13歳の時、店主である原田宗次郎の逝去により商店が廃業したため、
これまた薬種問屋である田畑利兵衛商店に移ります。
更に17歳から漢方医の藤澤新平の養子となり、薬学を学びました。
この時に名字が「福守」から「藤澤」になったようです。
藤澤新平はそれから5年ほどで亡くなってしまいますが、独身で子供がいなかったため、
養子である友吉が藤澤家を継ぐことになります。
新平が亡くなって4年ほど経過した1892年、友吉は薬種商免許を取得し、
それから2年後の1894年に藤澤友吉商店を創業します。
そして1898年には、皆さんお馴染みの藤澤樟脳(防虫剤)を発売しました。
藤澤樟脳の売り上げは好調で、東京や京城にも進出し、工場を増設します。
そして1916年に、満を持して発売されたのがブルトーゼでした。
藤澤友吉商店は当時、このブルトーゼをかなり大々的に宣伝していたようです。
東京大学画像アーカイブスで検索すると沢山広告が出てきますので、ご覧になってみて下さい。



これは個人的に好きな広告です!
「T」のタンクトップを着た男の子が内股気味なのが、かわゆい(笑)

広告を見る限り、ブルトーゼには効能の異なる六種類のタイプがあったことが分かります。

ブルトーゼ      →万能?
アルゼンブルトーゼ  →神経衰弱・皮膚疾患
ヨードブルトーゼ   →動脈硬化・腺病質(虚弱体質のこと)
キナブルトーゼ    →慢性胃腸疾患
グァヤコールブルトーゼ→結核・呼吸器系疾患
ネオブルトーゼ(錠剤)→万能?貧血?

それぞれ、諸症状に合わせた処方がされているようですが、
「補血強壮」のキャッチコピーの通り、血をいっぱい造って健康になる!
というのが、六種類全てに共通した効能のようです。
ネオブルトーゼに関しては、他のブルトーゼとは少し毛色が違っていて、
女性を主なターゲットにしているような印象でした。
健康な赤ちゃんが産めるよ!貧血が治るよ!的な感じです。(基本的には万能ですが)
ちなみに「BLUTOSE」はドイツ語の「BLUT(血)」、英語の「DOSE(薬)」を
組み合わせた造語だそうです。まさに効能を表したネーミングになっていますね〜
現代医学に照らし合わせて、どの程度、理にかなった処方だったのか気になるところです。





パッと見では、全く日本製とは思えないラベルです!
「NAKATA'S」とあるのが気になります。直訳すると「中田さんのブルトーゼ」?
広告をみても詳しいことが書いておらず(画質が悪くて読めない部分もあり)
普通に考えて、ブルトーゼを開発したのはこの「中田さん」と解釈して良さそうですが、
真相はいかに?





背面のラベルです。
商品の説明が載っていますが、読んでも大体しか分かりません……
どなたか分かりやすく解説していただけないでしょうか(汗)
「鐵蛋白酸ナトリウム水溶液」がブルトーゼの主成分のようです。
単純に、鉄分と蛋白とナトリウムが溶けている液体ということでしょうか?



蓋はサビサビなので、ちょっと触るだけでもボロボロと崩れます。
首に貼られているシールにはトレードマークが印刷されていたと思われますが、
ちょうど真ん中が剥がれてしまっていて雲海しか確認できません。



側面には「BULTOSE」のエンボスです。



底には「250」のエンボスです。容量のことだと思います。
ブルトーゼは250g入りの他に500g入りもあったようです。



これまた派手なカラーリングですね!ビンの入っていた箱です。
箱の正面の下部には、「大阪 東京 京城」と記載してあります。
京城は戦前まで日本の統治下にあった朝鮮の首都ですので、
戦前の物であることはほぼ間違いないと思います。


ここからは、ブルトーゼに関するちょっと面白い話(orどうでも良い話)です。

最近、川端康成著の短編集「掌の小説」を読んでいるのですが、
文中にブルトーゼが出てきてビックリしました!
「帽子事件」という短編の中に出てくるんです。
上野公園に飾られた広告燈(看板ちょうちん)のうちの一つにブルトーゼがある、
という描写で登場します。仁丹やライオン歯磨も一緒に出てきます。

他にも、小説の中にブルトーゼが登場していないかな〜と調べてみると、
宮本百合子著の「一太と母」にも出てくるんです。
新聞の広告を見た少年が母親に「ブルトーゼってなに?」と尋ねるシーンがあります。
母親は「広告だよ」と答えますが、少年が欲しかった答えとは少し違うような…(笑)

小説にまで出てくるとは、宣伝に力を入れていただけありますね〜

それから、第二次大戦中には、こんなお話があるそうです。
日本軍が米軍の拠点を占領した時、そこには米軍の乗り捨てたブルドーザーがありました。
当時の日本ではブルドーザーが一般に知られていなかったために、米軍捕虜から
ブルドーザーという名前を聞いた日本兵は薬のブルトーゼと勘違いしたとか。
いや、確かに似てるけどね(笑)
ブルドーザーは戦前日本でも研究されていましたが、ほとんど動く事がなかったそうです。
このブルドーザーは研究のため日本に送られ、1943年から本格的な製造が始まりました。
ブルトーゼを調べていて、ブルドーザーの歴史まで分かってしまうとは、意外です(笑)
この逸話は有名みたいで、「ブルドーザー ブルトーゼ」で検索すると沢山出てきます。

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黒猫チャック

Author:黒猫チャック
香水瓶収集からはじまり、日本の化粧品デザインに辿り着きました。特にビンが大好き!ラベルが残ってたら最高です。
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